-- まえ製作所 --
古いコンピュータ用のバックアップ2次電池について(充放電等の特性や置換えなど)
https://maepen25.com/pc/cmosbt/cmosbt.html
このページでは主に1990年代より前の国産コンピュータに多用された「メモリバックアップ用」コイン型2次電池に関して
まとめてあります。充放電特性を示した電池や置換えなどの参考にされてください。
現代では一部を除き新品での同型品の入手は難しいものばかりかと思います。
Web上を検索しても電池の外観写真、特性や代替えなどこの種の2次電池を掲載するページが無いと思いました。
「それなら電池マニアの当製作所がお役に立てるよう」と本ページを作成した次第です。
このページの作成にあたり各電池メーカーに問い合わせ/返答を頂き記事が起こせました。
各電池メーカー様には大変お世話になりました。
まえ製作所では本ページの情報が貴方の大切な国産コンピュータの維持管理のお役に立てる
ことを願ってやみません。
[表記案内]
☆ =カタログ内の特徴等説明
* =私の付け足しコメント等
VG2430 >> 東芝電池株式会社
Coin Vanadium Lithium Rechargeable Battery
- VG2430
販売元:東芝電池株式会社(現:東芝ライフスタイル株式会社)
[仕様等]
電池型番 = VG2430 (Battery name)
形 = コイン型(Coin Cell)
サイズ = 24mm x 30mm
製造年 = 1995~1996年(製造終了/EOL)
定格電圧 = 3V(Voltage)
定格容量 = 50mAh *1
充電電圧 = 3.40V(Charging Voltage)
代替電池 = IVR2430(製造終了)
材質 = バナジウム系(正極:V2 O5, 負極:カーボン )*1
VG2430バナジウム系リチウム2次電池は95年から96年に製造されその後に後継として
"IVR2430"が東芝電池から指定されるがどちらも製造終了。
充電電圧は他社から販売中のコイン型2次電池の充電電圧と合致しないため代替無し。
充電回路変更等で対応が必要。
主に東芝の産業機器向けコンピュータ、96年頃のSNK社の"NEOGEO"アーケードゲーム版(MVS MV1-A)に使われていたようである。
The VG2430 vanadium-based lithium secondary battery was manufactured from 1995 to 1996, and later the "IVR2430" was designated by Toshiba Battery as its successor, but both have been discontinued. There is no alternative available as the charging voltage does not match that of coin-type secondary batteries available from other companies. Modification of the charging circuit, etc., is required for compatibility.
It appears to have been mainly used in Toshiba's industrial equipment computers and around 1996 in SNK's "NEOGEO" arcade game version (MVS MV1-A).
※本件に関し東芝ライフスタイル株式会社電池事業部技術部さまに確認をさせていただきました。ありがとうございました。
*1:1995年9月東京理科大学出版会 SUT BULLETIN 「特集 軽く、小さく、強い電池 19項 表1 我が国で実用化されているコイン形リチウム二次電池 」より
GB50H >> 日本電池株式会社
Button Nickel-Cadmium rechargeable battery
※必ず下記をお読みください
このページに記載する内容は本記事を作成するために株式会社 GSユアサ GS Yuasa Technical Report編集委員会事務局様より
転載の許可を受けて構成するものです。本記事の転載内容や画像、表の著作権はGS Yuasa Technical Report編集委員会様が保有し"まえ製作所"のものではございません。
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本記事の転載内容や画像、表を著作者の許可なく利用することはお控えください。
下記の【】は転載する文書となります。
(転載開始)~(転載終わり)は転載する文書となります
- GB50H-3
販売元:日本電池株式会社 (現:株式会社 GSユアサ)
発売年月:昭和53年(1978年)11月頃(*3)
(昭和57年に65℃改良品実用化)
取り外したGB50H-3組電池
[仕様等]
電池型番 = GB50H-3 (Battery name)
形 = ボタン型(Button cell)
サイズ = 15.8mm x 18.0mm,9.3g
製造年 = 1978~xxxx年(製造終了/EOL)
公称電圧 = 3.6V(Voltage)
公称容量 = 50mAh (*2)
標準充電電流 = 5mA
標準充電時間 = 14時間
標準放電電流 = 5mA
代替電池 = 調査中
この"GB50H-3"を始めとする小型のニッカド式充電池はメモリ&RTCバックアップ用2次電池として日本電気PC-98シリーズ、富士通FMRシリーズ、FM-TOWNシリーズを始め産業用、個人用、汎用コンピュータ
に多く採用されてきた。コンピュータの中古購入時やメンテナンス等で実物を見たことがある方も多いのでないか。オールドコンピュータを扱う方からは小型のニッカド充電池は液漏れや充電不良等電解液の漏れによる
基板の汚損などから"厄介者"だと思われる方が多いかもしれない
しかしこの"GB50H-3"電池ははニッカド電池であり製造から最低でも20年は経過していることを考えると液漏れや過放電は物理現象として仕方のないことである。
たくさんの海外製粗悪2次電池を見てきた管理人からすれば姿形をしっかりと保持し保管状態によっては液漏れを全く起こしていない完全な個体の電池もある。
少なくとも1970年代から現代まで「コンピュータのバックアップ」として産業立国日本の誕生から成長までを本当の意味で影で支えた大変頼もしく力強い役者の一人であったと管理人は考える。
電池マニアでこのページを作成する管理人としては電池を雑に取り外し迷惑者として廃棄するのでは無く、システムから丁寧に取り除き適切な廃棄処理をぜひしてあげてほしい。
この電池は古い2次電池であり利用方法や素質からも分かるように一般向け電池ではない。
そのため令和5年度のインターネット上で調査しても情報に乏しい。
管理人は今回の記事構成の為に数ヶ月調査に費やし電池メーカー様からも転載のご許可も頂戴できた。
「GB50H」に関して発売年月、特徴や特性を調査した範囲で示しオールドコンピュータを大切に運用する(orしたい)貴方が適切に別のバックアップ用電池に置き換えられるよう参考に
なり得る情報を残す。今後としてはこれら内容を思考し1次電池へ置換え回路も考察していきたい。
上記でも述べた通り本記事の内容が国産コンピュータの維持延命の為に役に立つことを願いつつ記事を公開する。
Small Ni-Cad batterie this 'GB50H-3' have been widely used in various industrial, personal, and general-purpose computers, including the NEC PC-98 series, Fujitsu FMR series, and FM-TOWN series as rechrgeable batteries for memory and RTC backup.
Many might have seen these in person when purchasing used computers or during maintenance.
Those dealing with old computers may consider these small Ni-Cad batteries as 'troublesome' due to issues like leakage or charging problems caused by electrolyte leakage, leading to PCB board contamination.
However, considering that this 'GB50H-3' battery is a Ni-Cad battery and has been in production for at least 20 years, leakage or over-discharge is an inevitable physical phenomenon.
As someone who has seen many inferior secondary batteries made overseas, the creator of this page has encountered perfectly preserved batteries that have not leaked at all, depending on their storage conditions.
At the very least, from the 1970s to the present day, these batteries played a significant role, quietly support Japan's growth from an industrial standpoint as "computer backups".
I publishing this article in the hope that the content of this article will be useful for maintaining and extending the lifespan of Japan & World "Old Computers machines & games". (22/12/2023)
[GB50-3新発売]
1978年の日本電池株式会社発行、「GS NEWS TECHNICAL REPORT VOL.37 NO.2 アルカリ蓄電池特集」130頁の新商品紹介に
「ボタン形Ni-Cd式アルカリ蓄電池 GBシリーズ」に紹介がある。これによりGB電池シリーズの新発売は1978年と考える。
この記事には
【GS独自の特殊製法による極板を採用しており、小型軽量の受けに自己放電量が極めて少ないという特徴があり、特に
マイコン、電子レジスターなどのメモリー停電時のバックアップ用電源に最適で、さらにこれらの危機を長期間休止して
長期のメモリー保持を要する場合にも優れた性能を発揮します】(*4)
とある。最初からGBシリーズはメモリバックアップ用途の為に開発されたものだと汲み取れる。
また小型軽量でプリント基板実装、実装方向の制限なし等を謳い特に自己放電が少なく完全密閉で過充電対策済メンテナンスフリーを特徴として
記載している。このような2次電池は昭和な当時は大変重宝されたであろう。
また、余談ではあるが本電池の延長線として昭和58年(1983)にはカード機器用、カード形ラジオの電源として利用する当時世界最薄のコイン型電池の開発を行った(*5)と記事にある。
本電池の技術は一般ユーザでも恩恵に預かっていたのである。
下記に「GBシリーズの要項表」内容を転載する。
■ GBシリーズ要項表
形 式 |
公称電圧(V) |
公称容量(mAh) |
標準充電電流(mA) |
標準充電時間(h) |
標準放電電流(mA) |
GB50 |
1.2 |
50 |
5 |
14 |
5 |
GB100 |
1.2 |
100 |
10 |
14 |
10 |
GB50-3 |
3.6 |
50(*2) |
5 |
14 |
5 |
GB50-5 |
6.0 |
50 |
5 |
14 |
5 |
GB100-3 |
3.6 |
100 |
10 |
14 |
10 |
■ GBシリーズ要項表 (寸法) ※上表の続き
形 式 |
D1 |
H |
D2 |
L |
d |
重量(g) |
GB50 |
15.6 |
5.9 |
-- |
-- |
-- |
2.9 |
GB100 |
23.2 |
5.2 |
-- |
-- |
-- |
6.2 |
GB50-3 |
-- |
-- |
15.8 |
18.0 |
15 |
9.3 |
GB50-5 |
-- |
-- |
15.8 |
30.0 |
15 |
15.3 |
GB100-3 |
-- |
-- |
23.4 |
16.4 |
15 |
19.3 |
※形式の"GB50"は単セル、"GB50-3"はGB50を3セル組み合わせた組セル
D1は単セルのセル直径、Hは単セルの高さ
D2は組セルの直径、Lは組セルの高さ(リード線間径)、dはセル端からのリード線長さ
記事作成中、しばらくお待ち下さいね(長い目で見守ってくださいw)
2023/12/23
(*3) GS NEWS Technical Report VOL.54 1995年11月 100周年記念特集号
GSにおける小型ニッケル・カドミウム蓄電池の技術史 78頁 4.ボタン(コイン)形ニッケル・カドミウム蓄電池
(*4) GS NEWS TECHNICAL REPORT VOL.37 NO.2 昭和53年11月 アルカリ蓄電池特集 130頁
(*5) GS NEWS Technical Report VOL.54 1995年11月 100周年記念特集号
GSにおける小型ニッケル・カドミウム蓄電池の技術史 79頁 4.ボタン(コイン)形ニッケル・カドミウム蓄電池
(*6)GS NEWS TECHNICAL REPORT VOL.37 NO.2 昭和53年11月 アルカリ蓄電池特集
アルカリ蓄電池-製品と用途- 59頁 3-2ボタン型ニッケル・カドミウム蓄電池 図27ボタン形ニッケル・カドミウム蓄電池の自己放電率 より
2023年6月12日--ページ新規作成開始--
2023年12月23日--ページ更新&一部先行公開--
"英語翻訳 by GPT-3.5"
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