セレニウムレクチファイアを使えるようにしよう!
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古いバイクに取り付けてある整流器。セレニウムレクチファイア。略してセレン。

今回はそんな古き良き整流素子に焦点を当ててみます。

■ このページの内容は誤りがありました。セレンを破損させる恐れがあります ■
ページは削除しませんが実行作業しないでください


[使用機器] 電源装置、GWINSTEK GPS-3030DD、テスター、サンワPC5000--室温25.3、湿度59%





見た事ありますか?
シリコンダイオードができる前。高圧に耐える整流素子はありませんでした。水銀整流器やこのセレンがよく用いられました。 動作としてはショットキーダイオードと似ているようですが耐圧が低く発熱も多量に発生します。つまり効率が悪いのです。 ですが重ねることで高圧にも耐えるようになりリカバリーもでき安価なので多用されたようです。




今手で握っているのがセレン整流器の放熱板となります。右の赤いセレンはスーパーカブC105(1963年製)のセレン。 死んでいるはずです。緑のものは解体したものから出てきたものだったかと。
多分みなさまのご家庭のお車にも普通に使用されているwので見たことありますね!




セレンにそのまま導線をはんだ付けしてテスタに入れます。なにもしていない時点では413mVと出てます。 すなわち0.413V。つまりダイオードとしての順方向電圧は0.413Vとなります。まぁこんなものでしょう。 検波器として用いるのは適切ではないようです(笑)



念のために緑のセレンも計測します。両端のC、カソード側が真ん中に向く構造とわかります。 今回は赤い方のセレンを使います。



ここからちょっとだけ専門的にな話に移ります。
電源装置を3.3Vにセットして高輝度青色LEDにつなぎます。このテストではダイオードの順方向に 3.3Vを流してLEDは明るく光りました。この時には4.916mAが流れました。



次にダイオードを逆方向に接続して同じく電源装置から3.3Vを印加します。 若干LEDが点灯していることがわかります。この時にLEDには0.258mA流れておりました。 この実験からわかることが "比較的低電圧からセレンは逆方向電圧も通過する" 事がわかります。 つまり「整流素子としては適さないデバイスの可能性」が大きくなります。



よく旧車で「セレンが死んだ」と聞きます。このセレンが死んだ。はつまりバッテリーに充電されなくなった。 ということです。何らかの原因でジェネレータからの電力がセレンの所で止まってしまいバッテリーに充電されなくなる。 ということだと考えます。セレンはセレンやカドミウムの物質を金属板に塗り放熱板と合わせた接合金属と考えれれます。 接合金属がダメになる。ということはサビや酸化反応が起きている。と考えました。そこでセレンは構造的に 分解が可能なので接合面の酸化反応を取り除く。つまり磨いてやります。



バラします(笑)
元は多分こんな色ではないでしょう。放熱板ですが通電箇所なので綺麗にします。



多分セレン合金側。重要な金色の輪っかです。下の磨き終わった画像と見比べてみてください。 黄色くなってますので少なからず酸化していたのかもしれません。



逆側です。



固定用ネジと当たらないようにするためのワッシャです。



これは電極。これも汚れていそう。。。



ピカール等金属用磨き粉を用いて磨き終わりました。ピカピカになりました♪



光っております(ΦωΦ)



さて、組付けを終わりました。

・・結果・・

結果を先に申し上げます。セレンの復活は合金を磨くのでOKみたいです。


まず、セレンの順方向に電流を流します。負荷は20Ωのセメント抵抗。 印加するのは電源装置から5Vを掛けます。計算上、抵抗の発熱を無視すれば

I = R / V に当てはめて

0.25A = 20Ω / 5V

つまりセレンには0.25Aが流れるはず。これを整備前と整備後で確認しました。 また、逆方向の電流も確認をしました。


[整備前]

176.32mA (順方向時)
0.2412mA(逆方向時)


[整備後]

220mA(順方向時)
0.01mA(逆方向時)

接合金属面を清掃することにより電流が増加したこと。逆方向時の電流にも変化が起きたことを確認できました。 つまり原理はわかりませんがセレンが整流素子として機能を失う原因は"酸化反応"も影響がある可能性がある。と 言えることとなります。また、別で5Ωの抵抗とし計算上1A流れる状態にして整備前は最大で650mA程度だったものが 整備後には800mA程度まで流れれることも確認できました。


また、おまけデータとして逆方向電圧と電流の関係をざっくりと調べました。1Vから順次電圧を上げていき24V程度まで 測定しました。この際もセメント抵抗器の熱は無視することとします。


おまけデータ
[逆方向電圧と電流の関係]10Ω5Wを2パラ=5Ω


1V = 0mA
2V = 0mA
3V = 0mA
4V = 0mA
5V = 0mA
5.5V =10mA
6V = 10mA
7V = 10mA
8V = 10mA
9V = 10mA
10V = 10mA
11V = 10mA
12V = 10mA
12.2V 20mA
13V = 20mA
14V = 20mA
15V = 20mA
15.9V = 34mA (このあたりから急激に電流が増加する電圧が多数確認できた)
16V = 34mA
17V = 34mA
18V = 34mA
18.7V = 40mA
19V = 40mA
20V = 40mA
20.5V = 50mA
21V = 50mA
21.7V = 60mA (20Vから急激に60mAに)
22V = 60mA
22.3V = 70mA(徐々にセメント抵抗が熱を帯び始める)
22.7V = 80mA
23V = 80mA
23.2V = 90mA(セレン本体の放熱板も熱を帯び始める)
23.4V = 110mA
23.6V = 140mA
23.9V = 150mA(急激に発熱を確認、実験は継続)
24V = 160mA
24.3V = 180mA
24.4V = 210mA
24.7V = 230mA
24.8V = 240mA
25V = 270mA
25.3V = 300mA
25.4V = 310mA
25.6V = 340mA
25.7V = 350mA
25.9V = 360mA
26V = 370mA
26.1V = 380mA(セメント抵抗は66℃を確認)
26.5V = 390mA
26.6V = 400mA(実験停止)


データとしては全く信用できないデータなのでおまけとしております。(仕事終わりでヘロヘロなもんで)
ですが最終の26.6V時には整流素子として"流れてはいけない方向"に400mAの電流が流れてます。 つまり バイクならバッテリーの+と-の逆に400mAも流れていることになります。 もちろんジェネレータの出力や周波数にもよりますがスーパーカブのジェネレータでも直で電圧を計測すれば 40Vとか50Vは出ます。つまり50Vで400mAの電流(20W!?)もバッテリーに流れる「可能性」が。 すべて憶測なのでわかりませんが(笑)


このデータだけでもわかれば今回の実験は儲けものです。 私の結論としてはセレン整流器は機能は復活できる可能性があるが、
貧弱な古いバイクの整流素子としては用いるのは全くの不向きであり乗るなら現行のダイオードに変更を 強く推奨ということでしょうか。特に6Vはバッテリーのセル数も少ないので痛い仕打ちになるでしょう。

これを結果とし今回の解析は終わりとします。@まえ製作所
2018年10月22日作成

そして、また、高性能へ
High performance to the future
〜まえ製作所〜
合言葉は「また一つ、ジャンクを製品にしてしまった・・・」


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